研究だより Experimental Turbine Research at DLR Goettingen
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概要
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ドイツ航空宇宙センター(DLR)は,ドイツ国内の8都市にまたがって計31の研究所や試験設備を有し,また約5000人の職員が,航空・宇宙・エネルギー,そして輸送システム(1999年設立)の4分野における新技術の開発に従事しております。ターボマシーナリーの研究は,上記31の研究所の一つである推進研究所(Institute of Propulsion Technology)が担当しており,圧縮機はDLRの本部があるケルンにおいて,またタービンは,ドイツのほぼ中央に位置するゲッチンゲンでそれぞれ研究が実施されています。ここでは,後者ゲッチンゲンにおけるタービン部門における最近の実験的研究の概要を紹介します。境界層理論であまりにも有名なシュリヒティング先生は,このゲッチンゲンで活躍されました。またゲッチンゲンのタービン部門では,国内外からのタービンに関する委託試験はもちろん,ドイツ国家プロジェクトやEUプロジェクトに関連する試験も幅広く行われております。タービンの遷音速試験には,直線翼列風洞(EGGと称す)と回転翼列風洞(RGGと称す)の2種類の風洞が主に使用され,現象解明,理論実証そしてCFD (TRACE)検証が行われています。直線翼列風洞は,間欠噴出式で作動マッハ数は0.2から1.6までです。一方,回転翼列風洞は,連続回流式で,レイノルズ数:Reとマッハ数:Mがそれぞれ独立して制御できることが大きな特徴であり,その制御範囲はそれぞれ10^4<Re<10^6,0.2<M<1.7です。また回転翼列風洞における供試体は,単体翼列から1.5段構造まで可能であり,最大の膨張比は5.0程度です。衝撃波を伴う遷音速タービンの流れ計測には,高度な計測技術が要求されます。特殊な接触&非接触計測技術(小型楔型プローブ,ホットフイルムセンサー,ヒートトランスファーセンサー,高応答圧力センサー,シュリーレン,L2Fなど)により,流れの定常及び非定常現象に関する最先端の研究が,上記二つの風洞で精力的に行われております。直線翼列風洞(EGG)における最近の研究例としては,遷音速タービンの衝撃波損失低減化を目的として,衝撃波や衝撃波と境界層との干渉を接触・非接触計測にて詳細に調べたものや,また,複雑な三次元流れを伴うエンドウォール部での冷却効率改善を目的として,二次流れによる空力現象と熱伝達率との関係について詳細計測・評価してものがあります。一方,回転翼列風洞(RGG)については,CFD段解析コードの検証を目的として動翼後流を計測し,二次流れの特性(内壁側よりも外壁側でその影響力が大きい)を調べたものや,静翼後流の動翼内での挙動を調べたもの,また,動翼にホットフィルムセンサーを貼り付け,上流側静翼後流の境界層遷移に及ぼす影響を計測したものなど,非定常現象に関する数多くの研究が行われております。本稿はドイツ航空宇宙センター(DLR)のゲッチンゲンにおける最近のタービン研究内容と成果をまとめたもので,会員諸氏には有益な情報になると思います。
- 2004-11-20
著者
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Kost Friedrich
German Aerospace Center (DLR)-Institute of Propulsion Technology
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Giess Peter-Anton
German Aerospace Center (DLR)-Institute of Propulsion Technology
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Giess Peter-anton
German Aerospace Center (dlr)-institute Of Propulsion Technology:dlr Turbinentechnologie