10.可溶性デンプン水溶液のpHと電気泳動(I)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
可溶性デンプンの水溶液はコロイド溶液であり,コロイド粒子としての可溶性デンプンは一般に負に帯電しているといわれている。しかし,その帯電メカニズムは明かでなく,グルコース本体のヒドロキシル基の電離平衡によって単純に説明されるものではない。そこで,シャーレに入れた水溶液を種々のpH条件に設定し,その電気泳動を調べた。その結果,pH4〜5が帯電性の変換点(アミノ酸の等電点に相当)で,それより酸性側では正に,塩基性側では負に帯電していることが観察された。さらに,種々の陽イオンを可溶性デンプン溶液に加え,その溶液の電気泳動を観察することで帯電の性質を調べたところ,価数の大きいイオンほど帯電性への影響が大きいことがわかった。以上のことから,塩析を生じない範囲でのpH変化および陽イオン添加による帯電性の変化は,水和デンプンの表面におけるイオンの吸着との関連性を示唆している。
- 京都教育大学の論文
- 1996-03-29
著者
関連論文
- SSHは高校教育を変えた
- 10.可溶性デンプン水溶液のpHと電気泳動(I)
- 6.陽イオンの膜透過について(II)
- 土壌によるコロイド溶液の凝析およびイオンの吸着について
- 活躍した酵素は赤面(変)す!? : ウレアーゼの反応速度の測定(化学実験虎の巻)