長期記憶からの検索における検索量の定量的予測
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概要
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長期記憶からの記憶検索過程(retrieving sequence from long-term memory)についてはこれまで,Bousfield & Sedgewick(1944)による指数分布の分布関数によって近似的に表現されてきた。これに対して筆者は,式の当てはまりの良さという測度の持つ限界を指摘し,検索過程の定量的予測という測度を導入し,初期乖離(initial divergence)現象に関する実験的検討から式を再構成した。その結果,1.データへの当てはまりがより良くなり,2.先行研究で過剰学習(overlearning)や誤差として処理されてきた初期乖離現象が,決定的に重要な意味を有することが発見され,3.先行研究では不可能であった検索過程の定量的予測に成功した。これは検索行為自体が絶えざる活性化過程であるとした筆者の仮説を裏付けるものであった。
- 2004-03-31