阿蘇箱石峠北西域における硬化土層の検討
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概要
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阿蘇箱石峠の崩壊地における,土層の土壌硬度を測定した.土壌硬度の高い層位の上部または下部に,すべり面が発生する例が見られた.また,土層の地表面からの深さの対数値と土壌硬度の間では有意な回帰直線(黒ボク土p<0.01,褐色火山灰土p<0.05)が得られ,圧密作用による効果と推察された.しかし土壌硬度が25mm以上の値をとる土層は,かならずしも深い土層に見られない.そこで,硬化した土層の層位をテフラを鍵に比較した.その結果,土層の硬化は特定の層位で生じておらず,降下物の性質により土層が硬化したとは考えられない.したがって,土層の硬化は,降下物の堆積による圧密作用のみならず,セメンテーションが関与すると推察された.火山灰の硬化は表層堆積物においても進行しており,土層の物理的性質を複雑化させることが示唆された.Stratigraphically, soilhardness was surveyed on the shallow landslides in Mt. Aso. Around hard layer, sliding surfaces often formed. The significant regression was found between the logarithm of the depth of soil layer and soilhardness (ash with humus p<O.O1, brown weathered ash p<0.05), which indicates the effect of consolidation. However, the layers whose soilhardness are bigger than 25mm are not always deep-seated layers. The Stratigraphy of hard layers was compared by tephra. Then it was found that soil-solidification is not always seen in a specific layer, so there is no reason to presume that soil-solidification occurred due to the characteristics of the ash. Thus not only consolidation caused by the accumulation of ash but also cementation is found to be concerned with soil-solidification. The solidification of ash is in progress also in the surface layers, so it was suggested that it complicates the physical characteristics of soil layer.
著者
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久保田 哲也
九州大学大学院農学研究院
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大村 寛
九州大学大学院農学研究院
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久保田 哲也
九州大学大学院 農学研究院 森林保全学研究室
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松本 雅道
九州大学大学院生物資源環境科学府
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森脇 康介
九州大学大学院生物資源環境科学府
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大村 寛
九州大学大学院生物資源環境科学府
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松本 雅道
九大 大学院生物資源環境科学府
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