大学生における孤独感と同一性の混乱 : ひとつのケース・スタディ
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概要
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79名の大学1年生に,「同一性混乱尺度」と「孤独感類型判別尺度」の2種類の質問紙を施行した。孤独感類型判別尺度により全被検者は4つのタイプに類型化された。孤独感類型判別尺度は「自己の個別性の自覚」と「理解・共感の可能性」への信頼・期待を測定する2つの下位尺度で構成される。最も「自己の個別性の自覚」の低いA型と最も「自己の個別性の自覚」の高いD型において,被検者の度数が統計的に等しかった。この結果は,大学生においては殆んど例外なくD型がA型の度数を上回るという先行研究と合致しなかった。一方,「自己の個別性の自覚」尺度全7項目のうち6項目でD型がA型より有意に得点平均が高かった。「理解・共感の可能性」尺度全9項目のうち6項目で,A型はD型より得点平均が高く,前者の依存性の強さを示唆するとも考えられた。またD型はA型より同一性混乱(悩み)の程度が高く,前者では自己に関わる多様な「悩み」がA型より強く意識されていることが示唆された。以上の結果は,中学生を対象とした先行研究において示された,発達的に最も進んでいると考えられ争D型が最も未熟と考えられるA型よりストレス(悩み)が多いという結果と符節を合わせ,発達と悩みの不可分の関係を示唆するものと考えられた。
- 近畿大学の論文
- 2006-03-31
著者
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