ポリイミド配向膜上液晶分子のプレチルト角制御
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
配向膜上の液晶分子のプレチルト角は、液晶材料と配向膜材料及びラビング条件によって決まる。配向機構についてはまだはっきりしていないためその解明が必須である。プレチルト角は重要なパラメータであり、各種液晶ディスプレイが要求する角度は夫々異なる。また、最近プラスティックフィルムを用いたフレキシブルディスプレイの製造も始まり、プロセスの低温化も必要となってきた。従って色々な製造温度条件における、プレチルト角の制御性、再現性が求められる。本論文は、配向膜焼成温度として200℃、240℃、280℃を選び、2種類の液晶(C、D)でプレチルト角を比較した。ラビング強度は13mmの弱ラビングから10000mmの強ラビングまで調べた。いずれの場合も25mmから50mmの弱ラビングでプレチルト角は最高に達し、ラビング強度の増加とともに下がる傾向がある。配向膜焼成温度については、温度の上昇とともに弱ラビング領域でのプレチルト角の最高値は上がるが、特に液晶Cで顕著である。強ラビング領域でのプレチルト角は、液晶Dでは弱ラビング領域と同じ傾向を保つが、液晶Cではほとんど同じプレチルト角になる。同じ配向膜焼成温度で比較すると、弱ラビング領域でのプレチルト角は液晶Cの方が約2倍と大きいが、強ラビング領域でのプレチルト角はほとんど同じ値になる。配向力(アンカリング強度)とラビング強度は、ラビング強度5000mm程度まで一対一の対応があると言う報告があるが、プレチルト角は液晶の種類や配向膜焼成温度で著しく変わるので、プレチルト角発生機構は配向力とは別機構を考える必要がある。
- 2006-03-31