運動負荷時のQRSとT波の変化 : 空間マグニチュード及び空間速度心電図による検討
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概要
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健常45例,労作性狭心症32例を対象とし,臥位自転車エルゴメーターによる多段階運動負荷を行い,QRSとT波を空間マグニチュード及び空間速度心電図を用いて分析し,それらの診断的意義について検討した。またT波高変化の成立機序について,血行動態や体液性因子の測定,自律神経薬に対する反応などの結果より考察した。空間マグニチュード心電図による運動負荷後のQRS最大ベクトルの大きさについて,増大例数を比較すると,健常と労作性狭心症例間に有意差はみられなかった。一方,負荷後のQRSを空間速度心電図で分析すると,労作性狭心症の84%に変形が認められた。それに対し健常例での変形出現率は3%と低値であった(P<0.001)。また冠動脈造影を行った48例において,狭窄所見に対するQRS変形所見のsensitivityは84%,specificityは94%と高率であった。したがって空間速度心電図による運動負荷彼のQRSの分析は,労作性狭心症の診断に有用と思われた。空間マグニチュード心電図より得られた,20分間運動負荷を行った健常例の空間最大Tベクトルの大きさ(Tmax)の平均値は,運動開始後減少し,9分に最小となり,その後増大した。そして終了1分後にピークに達し,以後再び減少した。運動負荷時間による差異の有無を検討すると,終了1分後の変化は,12分までは負荷時間が長いほど大であった。終了1分後のTmax増大の機序としては,血清Kの増加,交感神経緊張などの関与が示唆された。労作性狭心症例では,4分ないし8分で負荷を中止した例の終了1分後のTmax増高(0.1mV以上)の出現率は,それぞれ0%,33%で,健常例の22%,58%と比較し,有意差を認めなかった。労作性狭心症32例中30例は,4分ないし8分で負荷を中止しており,従って運動負荷による労作性狭心症の心電図診断に,終了1分後のTmax増大所見は有用でないと思われた。また空間速度心電図によるT波の分析でも,診断的価値のある所見は得られなかった。
- 1986-12-01
著者
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