虚血心筋に対するATP-MgCl_2の効果
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概要
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冠状動脈結紮による虚血心筋に対してATP-MgCl_2を投与してその効果を検討し,あわせてATP単独投与,MgCl_2単独投与とも,その効果を比較検討した。雑種成犬37頭を左側開胸し,左冠状動脈前下行枝(LAD)を40分間結紮し,結紮解除後90分間の再灌流を施行した。薬剤非投与(C)群,ATP-MgCl_2投与(AM)群,ATP投与(A)群,MgCl_2投与(M)群の4群に分け,薬剤投与各群では,LAD結紮前,結紮中,結紮解除後25分間に合計95μmol/kgの各薬剤を持続注入した。実験経過中の心室細動発生率は,C,A,M群の約50%に対し,AM群は22%と有意に低率であった。心拍数,動脈圧,左心室maxdp/dtは,AM,A群で薬剤投与中のみ有意に低下したが,投与終了後は速やかに回復した。心拍出量はAM群で薬剤投与中に増加する傾向を示した。冠状静脈血の分析では,lactateは各群間で有意差を認めなかった。LDHはAM群で低値を示した。total-CPK,MB-CPKは,AM群で最も低値となり,次いでA,M,C群の順となり,AM,A群はC群に対して有意に低値であった。心筋内ATPは,C群2.15±0.18μmol/g,AM群3.51±0.33μmol/g,A群2.54±0.61μmol/g,M群2.48±0.80μmol/gであり,AM群が他の3群に対して有意に高値であった。energy chargeは,AM群がC群より有意に高値であった。心筋内creatine phosphateは各群間で有意差を認めなかった。すなわち,ATP-MgCl_2は虚血心筋の保護に有効であった。ATP単独,MgCl_2単独投与でも若干の効果を認めたが,ATP-MgCl_2がより有効であった。
- 千葉大学の論文
- 1985-06-01
著者
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