同系腫瘍に対する細胞障害性T細胞の性状の解析と長期培養に関する研究
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概要
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腫瘍に対する免疫学的拒絶を担っている免疫細胞は,主として細胞障害性T細胞(Tc)であることはすでに知られているが,腫瘍免疫の担い手である同系腫瘍に対するTcの性状を調べるとともに,T細胞マイトゲンであるConcanavalin Aによりマウス脾細胞を刺激した培養の上清に含まれるT細胞増殖因子(TCGF)を用いて,同系腫瘍に対するTcの長期培養の実験を行った。メチルコラントレンで誘発したA/Jマウス(H-2^a; K^k, D^d)由来の線維芽細胞肉腫S1509aをマイトマイシンCで処理したのち,その1×10^6を同系マウスにi. p.で免疫し,14日後に脾細胞をとり出して,再びマイトマイシンCで処理した同一腫瘍細胞とin vitroで5日間培養することにより,Tcを誘導した。このTcの性状を調べてみると,Thy-1^+, Lyt-2^+であり,^<51>Crによる標的細胞破壊試験において,このTcの細胞障害活性をみると,S1509aを特異的に障害した。またこのTcの細胞障害試験において,標的細胞のS1509aを抗H-2抗血清で処理すると,抗H-2K^kおよび抗H-2D^dで特異的にブロックしたことより,この細胞破壊作用には,H-2抗原の関与があることが明らかであった。TCGFを用いてこのTcを培養すると,細胞数の増加とともに細胞障害活性も増強の傾向がみられ,活性をもったTcのクローンが8週間維持できた。この結果,ヒトにおいて特異的な免疫療法への臨床応用の可能性が示唆された。
- 千葉大学の論文
- 1984-02-01
著者
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