耐摩耗性の優れた海苔網用ポリビニルアルコール太繊度モノフィラメント繊維の製造技術に関する基礎的研究

概要

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ポリビニルアルコール(PVA)の15%水溶液に架橋剤として硼酸を加えた紡糸原液をNaOHを加えてアルカリ件としたNa_2SO_4水溶液を凝固浴として紡糸し、凝固時にPVA〜硼酸分子間に架橋結合を形成せしめる架橋型湿式紡糸法の特徴は、(1)細繊度繊維を製造した場合に、製造条件を厳しく選べば高強力・高弾性率繊維の製造が可能であること[1-11]、及び(2)500〜2000 denier(d)のような、従来の湿式防糸法では到底不可能であった太繊度繊維の製造が極めて容易なことである。しかし、本学紀要第25巻で報告したように、架橋型湿式紡糸法の従来の紡糸法の履歴を経た太繊度繊維は、繊維の表面と内部の繊維の半径方向の微細構造の差が大きく、どのように製造条件を変えて工夫しても、耐摩耗性の向上ができず剥離してくることを報告した[12]。本報告では、架橋凝固後、紡糸延伸工程の前に架橋を切断してしまうという、全く発想の新しい製造方法を採用することにより、耐摩耗性、強度、湿潤結節強度、及び伸度等、総合的に従来の市販製品の性能をはかるに上まわる、性能の優れた太繊度PVAモノフィラメント繊維の製造法を初めて完成することができた。
大阪城南女子短期大学の論文
1995-02-24