架橋型湿式紡糸法によるポリビニルアルコール太繊度モノフィラメント繊維の製造と、その微細構造並びに性能に関する基礎的研究
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概要
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著者の報告書[2]で、詳しく述べた架橋型湿式紡糸法の製造工程に準じて、超太繊度PVA繊維(100d〜2000dモノフィラメント)の製造紡糸を行った。見かけ上ではあるが、各紡糸工程での紡調は極めて順調に進めることができた。しかし、架橋型湿式紡糸法と同じ製造工程で製造した太繊度繊維の性能は、強度、伸度、湿潤結節強度とも、目標値を上まわる値が得られたが、荷重をかけて緊張下に、金属のエッジ部と強制的に摩擦させる耐摩耗性テストを行った結果、太繊維度繊維の繊維表面部全体が剥離し、繊維の表面が一皮むけたように、フィブリル化してくる大きな問題点を有していることが明らかとなった。この剥離してくる原因を明らかにするために、繊維の剥皮実験を行い、繊維の半径方向の微細構造の分布を調べた。架橋型湿式紡糸法の製造履歴により、即ち、架橋凝固後、架橋の存在下で紡糸延伸を加える紡糸法で得られる繊維は、繊維の表面部と内部との微細構造の差が大きく、摩擦によって繊維の表面と内部とが、剥離してくることが判明した。
- 大阪城南女子短期大学の論文
- 1990-12-22