アオキの胚形成過程における組織学的細胞学的変化
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概要
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アオキの胚形成過程における組織学的及び細胞学的研究から得られた結果について報告した。胚本体中の組織学的分化は球状胚からみられはじめ,ハート形胚,水雷形胚に発達するにつれて複雑化し,各組織は明瞭に識別できるようになる。分裂中の細胞をカフェインで処理すると多核性の細胞が誘導できる。そこで,胚の発達と細胞分裂の頻度や方向を知るために,胚をカフェインで処理した。また,発達中の胚の各組織の電子顕微鏡的な観察からミトコンドリアの数に対する色素体の数の割合(%,R値)を計算した。原表皮と基本分裂組織では,多核性の細胞がよく誘導されて,細胞分裂がよく起こるものと推論される。また,この両組織で計算されたR値は他のどの組織よりも大きい値を示した。前形成層と原根端が作りだした幼根では,もっともよく多核性細胞が誘導され,発達中の胚ではもっともよく細胞分裂が起こっていると推論できる。また,ここではR値は原表皮や基本分裂組織の値よりもかなり低い値である。原茎頂の細胞が多核化することは殆どなく,この細胞の細胞周期はきわめて長いものと思われる。また,色素体の数は極端に少なくR値は胚形成のどの時期でもほぼ同じで,どの組織の値よりも極めて小さい。休眠中の胚を構成している細胞には,発達中の胚の細胞にはみられない,プロラメラ・ボディーを持つ色素体がしばしばみられた。
- 横浜国立大学の論文
- 1987-10-31
著者
-
佐藤 嘉彦
Department Of Biology Faculty Of Education Yokohama National University
-
山口 淳子
Sakata Seed Corporation Plant Biotechnology Center
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