キブシの胚嚢形成過程におけるカロースの沈着様式
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概要
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キブシの胚嚢形成過程におけるカロースの沈着様式について調査した。キブシの胚嚢は単胞子性8核タデ型に従って形成される。4個の大胞子のうち最も合点側の大胞子が8核からなる胚嚢に発達するが,この大胞子のすぐ上に位置する大胞子も,しばしば2核や4核の細胞に発達する。カロースは二分子細胞を分ける隔壁と四分子細胞を分ける隔壁にだけ検出される。このようなカロースの沈着様式は,単胞子性の胚嚢形成過程では,これまでにはまったく知られていなかったものである。しかし,二胞子性の胚嚢形成過程におけるカロースの沈着は,異形分裂の後に作られる隔壁に限られている。キブシでみられるカロースの沈着様式は,大胞子形成過程の隔壁にしかカロースが沈着しないという点で,二胞子性の胚嚢形成過程でのそれと共通する性質をもつものと思われる。キブシ科との類縁関係が議論されている科の中で,特にイイギリ科はキブシ科と近い関係をもつと考える研究者が多い。しかし,キブシ科との類縁関係が議論されている科の中で,二胞子性の胚嚢形成が知られている科はツバキ科である。今回の調査から得られた発生学的な特徴はツバキ科との関係を示すものと思われる。
- 横浜国立大学の論文
- 1985-10-30
著者
-
佐藤 嘉彦
Department Of Biology Faculty Of Education Yokohama National University
-
竹田 敬子
Fuji Electrochemical Co. Ltd.
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