女子長距離ランナーの月経異常と発現要因
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概要
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本研究は、女子長距離ランナーの月経について調査し、月経異常の実態と発現要因を明らかにするため、高校、大学、実業団それぞれのチームに所属する女子長距離ランナーを対象にアンケート調査を行った。対象とした選手は、平成8、9年度の少なくとも何れかの年度に、全国高校女子駅伝、全日本大学女子駅伝、または全日本実業団女子駅伝に出場したチームに所属する選手である。女子長距離ランナーの月経状況は、正常群41%、不順群37%、無月経群22%であり、高校・大学・実業団の間の有意差はみられなかった。初経発来の年齢は正常群12.8±2.4歳、不順群13.2±2.3歳、無月経群13.6±1.3歳であり、正常群と無月経群の間には有意差がみられた。初経発来年齢を競技開始年齢と比較すると、正常群では初経発来の後に競技を開始しているが不順群と無月経群においては初経発来と競技開始が同時期であった。これより、初経年齢にあたる中学生期のトレーニングにおける月経に対する配慮の重要性が示された。女子長距離ランナーのBMIは18.8±1.5であり、無月経群(18.07±1.47)は正常群(19.11±1.49)や不順群(18.78±1.31)と比較しBMIが低値を示した。大学生ランナーと実業団ランナーにおいて、食事制限によるウエイトコントロールの実施状況と月経状況との間に有意な関連がみられた。トレーニング状況においては、無月経群は正常群や不順群と比較し、練習頻度と走行距離が多かった。月経異常の発現要因と考えられるBMIや練習頻度、走行距離等については、正常群と無月経群、及び不順群と無月経群の間に有意差が認められたが、正常群と不順群の間には有意差が認められなかった。女子長距離ランナーの月経異常の発現要因としては、BMIの低下や走行距離の増大が大きな要因と考えられるが、これらは長距離ランナーのパフォーマンスの向上にとって重要な因子であるため、その管埋については慎重に検討されるべきであろう。
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