スパッタ法で作製されたNiCr薄膜の構造と抵抗温度係数(TCR)特性に及ぼす基板の表面あらさの影響(薄膜プロセス・材料,一般)
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概要
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表面あらさの異なるアルミナ基板上に,RFマグネトロンスパッタ(RFMS)とインビームスパッタ(IBS)を用いてNiCr膜を作製し,膜厚をパラメータとして,膜の構造と抵抗温度係数TCR特性の膜厚依存性を調べた.あらさ形状による熱歪λ_Tの変化は有限要素シミュレーションを用いて概算した.その結果,基板表面があれていた場合,RFMS膜は平坦な基板上の層状構造とは異なり,粒界がそれぞれ分離した粒子状構造を示し,TCRの大きさはその構造変化にともなって約60ppm/K増加した.一方,IBS膜は平坦な基板と同じ層状構造を示す場合が多く,構造変化が起きない場合でも,TCRの大きさは約30ppm/K増加する傾向を示した.そのシミュレーションから,その形状によるλ_Tの変化はRFMS膜の粒子状構造では起きにくく,IBS膜のような層状構造で,その大きさが平坦な基板のときの約3倍の大きさに達した.この歪みの増加がTCRを変化させる原因であった.さらに,膜には厚みの分布があった.以上のことから,NiCr膜のTCRにおける表面あらさの影響として,膜構造,あらさ形状による熱歪と膜厚分布の3つの要因とそれらの大きさを明らかにした.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2006-11-02
著者
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