1046 高熱を受けた軽石(浅間産)コンクリートの強度と弾性の変化(材料・施工)
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概要
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鉄筋コンクリート構造体が耐火力に富むためには、コンクリート自身の耐火力を必要とする。この耐火力はまた熱間においてその強度と弾性の低下の少ないことと共に、冷却したコンクリートとしても残存強度と残存の弾性が充分大きいことを必要とする。殊に火災後の再使用を必要とする吾国では残存値を特に必要とする。熱間の強度の変化については既に、永井博士の研究により、熱間強度は、残存強度よりは比較的大きいと言う研究があり、なお最近、Malhotra其他の研究もある。今回の実験は、吾国でよく利用される軽石(浅間産)を骨材したコンクリートの残存強度及び残存性係数の低下に関する研究である。軽石コンクリートは、常温強度と弾性係数は比較的小さいが、軽量で、常温の熱伝導率、温度伝導率が小さく、熱的の性質にすぐれた点の多いため、使用の範囲が広い。加熱された軽石コンクリートは、第1図に示す如く、500℃で、強度_cF_cは常温値の76%位いに低下し700℃で60%、800℃で40%内外となる。この500℃以上の加熱コンクリートは既報により、普通のコンクリートでは冷却後2〜3日で大きな亀裂を発生して、強度の測定を不可能とする。なおこの軽石コンクリートは構造物としての使用上必要な弾性係数の残存値が大きい。即ち500℃で43%内外も残存する。600℃で35%内外であり、800℃でも20%もある。E.s,1/4=20%という値は骨材を安山岩質とする既報白川産骨材コンクリート500℃の残存値であり、一般に利用される河砂河砂利コンクリートでは500℃で10%以下となる。即ち、今回軽石コンクリートは在来の骨材コンクリートが500℃以上の加熱により冷却後数日で破壊的亀裂を発生し、構造体としての利用を不可能とする点と異なつて、500℃以上のコンクリートは800℃でも発生する亀裂は微細で肉眼的には殆んど発見困難であり、強度試験を可能とする。但し今回の実験結果により(第5及び6図)、温度の上昇に伴い既報の一般コンクリートと同様に500℃以上のコンクリートの応力-歪曲線の型式は歪軸に凸型を画き、残留歪を増加する。殊に700℃以上では著しい塑性化の傾向がある。その残留歪も全歪の50%内外を採る。構造体としての利用を考えるときは軽石コンクリートの加熱の限界温度は一応600℃といえる。なお第1図に示す様に比較的大きな残存値を採り、この耐火力の大きい軽石コンクリートは既報の如く高温度に於ける熱膨脹率が小さく、殆んど高温無膨脹性のため熱応力の発生も少ない。かつ高温度に於ける温度伝導率も小さく、河砂河砂利コンクリートの60〜70%であり火災時に於ても部材の内部温度の上昇が少ない。
- 社団法人日本建築学会の論文
- 1959-10-10
著者
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