あいまいさ回避についての動学的実験
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概要
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あいまいさ回避は,主に静学的な文脈で問題にされてきた.Epstein and Schneider (2005)は,事前にはあいまいさがなくても,事後的にあいまいな状況を作り出す情報をあたえると,意思決定者は同じ情報に対して異なる解釈を与えるという仮説を提示した.すなわち動学的な意志決定の中でのあいまいさ回避を扱う理論である.本稿は実験的手法によってこの仮説を検証するものである.第1章では,検証すべきモデルを概観し,仮説がもつ現実的な意味について解説する.第2章ではモデルのもつ文脈を損なわないような経済実験を考察する.そこでは,被験者を2つのグループに分け反対の意味のニュースを同時に与えることにより,Epstein and Schneiderの仮説が検証される.第3章では実験の結果を検討する.われわれは,Epstein and Schneider (2004)による,人々はあいまいなニュースに対して,悪いニュースに対しては強くあいまいさを回避し,良いニュースに対しては大きく反応しないという理論を支持する結論を得た.
- 敬愛大学・千葉敬愛短期大学の論文
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