EU基本権憲章と「民主的」統治問題 : フランス国民投票における論議を素材として(<特集>欧州統合と民主的統治)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
EU憲法条約は,2005年5月29日のフランス国民投票による批准否決により,殆ど「死んだも同然」の状況になった.しかしながら,憲法条約に関するフランス国民投票論議は,ヨーロッパレヴェルにおける基本権保障につき,若干の教訓を残した.国民投票論議の中では,Convention方式の民主的正統性が,批准反対派により争われた.EU基本権憲章の「憲法化」は,憲法条約におけるEU法の優越規定新設と相まって,フランス憲法院に対して深刻な憲法問題を提起することとなった.一般論としては,ヨーロッパレヴェルでの基本権保障の強化は歓迎すべきことであるものの,加盟国の憲法裁判所にとっては,EU法と国内憲法規範との抵触の可能性ゆえに,常にそうであるとは限らないからである.本稿は,加盟国が各国の「憲法制定権力」を援用できる限り,たとえEU憲法条約が発効したとしても,基本権保障問題に関して,EU法の絶対的優越が達成され得ないであろうことを論じるものである.
- 2006-01-31
著者
関連論文
- EU基本権憲章と「民主的」統治問題 : フランス国民投票における論議を素材として(欧州統合と民主的統治)
- 基礎法・特別法講義(7)ヨーロッパ法(4・完)EC法の国内法に対する優越(3)EC法と憲法規範
- 基礎法・特別法講義(7)ヨーロッパ法(3)EC法の国内法に対する優越(2)EC法と国内後法
- 基礎法・特別法講義(7)ヨーロッパ法(2)EC法の国内法に対する優越(1)
- 基礎法・特別法講義(7)ヨーロッパ法(1)EC条約規定の直接適用性
- EU基本権憲章の背景と意義 (特集 EU法の発展と展望) -- (第1部 EU法の発展と直面する課題)
- コメント・フランス民法とヨーロッパ人権条約 (シリーズ・日仏民法学交流の新世紀へ)
- 講演 ヨーロッパ市民権の理論と実際--法による上からの市民権と下からの市民権
- ヨ-ロッパ法とフランス国家責任法
- Donati,Filippo,Diritto comunitario e sindacato di costituzionalita(Milano,Giuffre,1995,414pp.) (学会展望)
- La Constitution et l′Europe--Journee d′etude du 25 mars 1992 au Senat(1992)
- La France par l′Europe/Jacques Delors et Clisthene(1988)
- Conseil constitutionnel et Conseil d′Etat-Colloque des 21 et 22 janvier 1988 au Senat(1988)
- フランスにおける違憲審査
- Introduction historique au droit administratif francais/Mestre(Jean-Louis)(1985)
- フランス行政判例における「法の一般原理」(フランス行政法研究-24-)
- フランスの地方制度改革--議会資料から
- フランスの地方制度改革と「市町村社会主義」--市町村の経済・社会介入権規定をめぐって
- B-15 圧縮機翼列の失速特性に及ぼす壁面コンターリングの効果(空力III,一般講演)
- 23396 脆性部材を有するRC造架構の構造性能評価に関する実験 : その6 部材損傷と架構危険度の関係(骨組(4),構造IV)
- 23395 脆性部材を有するRC造架構の構造性能評価に関する実験 : その5 損傷量進展過程の分析(骨組(3),構造IV)