車輪引込孔を有する翼の性能
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概要
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最近の飛行機の着陸裝置は殆んど凡て翼又は稀には胴體内に引込められる様になつてゐる.かゝる引込脚を有する飛行機は離陸した後と雖もかなり長い間の上昇飛行中,不慮の障害に依る不時着陸を慮り車輪を引込めないで飛行するのが普通である.従つて着陸の際は勿論,上昇の場合に於いても翼の下面に車輪の取入孔をあけたまゝ飛行してゐるのである.かゝる大なる孔を翼の下面に附ければ翼の性能に變化を生ずることは誰しも考へ及ぶ所で,本實驗は此の孔による翼の性能の變化を明らかにするために行はれたものである.實驗の結果に依れば孔を附けても揚力係數,モーメント係數,風壓中心係數は殆んど變化しない.たゞ最大揚力係數が約1.3%だけ減少する.抗力係數は迎角の小さい時は孔を附ければ増大し,最小抗力係數について約17%増大するが,迎角の大きい所ではあまり變化しない.最大揚抗比は孔のあるため約9%減少する.以上の如く孔をあけても翼の性能には最小抗力係數及び最大揚抗比の他には何ら大なる變化は起さないことを知つた.
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