丸太価格を基礎とした素材の採材方法について
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概要
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丸太価格をもとにした1本の素材の最適採材方法を決定するシステムを構築した.このシステムでは幹形を表すために相対直径列が利用され(Table 3), かつ丸太の末口直径を計算するために3次のスプライン補間法が用いられている.丸太材積は日本農林規格(JAS)によった.また本研究では採材可能材として4種類, すなわち2,3,4および6mの材が含まれている.丸太単価は鹿児島県高山木材共販所の2年間の平均値を利用している(Table 1).このシステムの構造はFig.2に示すとうりである.3種類の採材方法が本研究では採用されている.一番目は, すべての採材方法のなかで最大の採材価額を与える最適採材法である.二番目は, 6m材を含まない採材方法の中で最大の採材価額を与える現実最適採材法である.三番目は, 4m材を主体に採材する一般採材法である.この採材システムを利用し, 幹形の相違による素材採材価額の変化について分析を行った.その結果, 次のことが明らかになった.(1)素材の採材価額は幹形の相違によるのではなく, 完頂幹材積に比例して増加する(Fig.3〜8).(2)ヒノキの場合は, 実材積と採材価額の関係が0.7および1.2m^3の付近で不連続であり, これは元玉4mで末口直径が24cm以上および30cm以上の丸太が採材可能か否かによるものである(Fig.6〜8).(3)スギの場合は, ヒノキのような不連続は認められず, ほぼ幹材積に比例して採材価額は上昇した(Fig.3〜5).(4)一般採材価額に対する最適および現実最適採材の比率はスギ・ヒノキともに幹材積が0.1〜0.8m^3の間で値が大きく採材の効果が認められた.またスギの方がヒノキよりも大きな値を示した(Table 4).
- 鹿児島大学の論文
- 1989-03-15
著者
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