シラス模型斜面の崩壊試験
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概要
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浸透水によるシラス模型斜面の崩壊におよぼす斜面の間ゲキ比, 傾斜の2つの条件の影響を検討した.その結果は以下の通りである.1)すべり崩壊の発生は何の前兆もなく起こるのではなく, その前にパイピングによる崩壊および引張りきれつの発生をともなう.この外, 間ゲキ比の大きな斜面では局部性破壊が発生する.パイピングによる崩壊の発生回数は間ゲキ比が小さく, 傾斜が緩なほど多く, その高さも大きくなる.パイピングによる崩壊の発生時から引張りきれつ発生時までの時間は傾斜の影響を受け, 引張りきれつ発生からすべり崩壊発生時までの時間は一定(10〜30分)である.2)斜面の変形は一様には発生しない.変形過程は間ゲキ比, 傾斜によって変化する.斜面はパイピングによる崩壊の発生と引張りきれつの発生の間ですでに崩壊限界に達している.この時の水平方向と垂直方向のヒズミ比(∈_<h3>/∈_<v2>)_f, ヒズミ速度(d∈_h/dt)_fおよびヒズミ∈_nは間ゲキ比によって変化するだけで, 傾斜による影響を受けない.3)すべり崩壊までの経過時間および崩壊時の水位は間ゲキ比, 傾斜が大きくなると小さくなる傾向を示す.引張りきれつの長さは傾斜によって影響を受け, 間ゲキ比には無関係である.斜面内の含水比の変化は間ゲキ比が大きいほど大きく, 傾斜にはあまり影響されない.4)斜面安定解析は局部性破壊, 進行性破壊, パイピングによる崩壊, 引張りきれつの発生および土性の変化を考慮する必要がある.
- 1976-03-20