南九州地方における防潮林の研究
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概要
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1.昭和26年10月14日南九州地方を襲つたRuth台風は非常な高潮を持ち来し, 甚しき潮害を蒙らしめた.2.暴風波浪に対し堅固に築造せられた防波堤, 護岸等の工作物の被害は少くなかつた.3.海岸林も風倒, 風折等の損害をうけた所もあつたが, 概してよく防潮, 防風の効を奏した.4.高潮の機械的破壊力に対し, 固定工作物は, よく全面的にこれを遮断防止し得るが, 同時にその力を真正面からうけて潮位を高くし, 洗掘を大にし損害を増大する.5.防潮林は風及び波の一部を遮断し, 一部は通過するが, 摩擦及び渦流を生ずることによりその有する破壊力を減少せしめる.6.防潮林はその濾過作用により高潮の植物に対する生理的被害を防ぐ.7.海岸林についての植生調査の結果, 防潮林に適当なる樹種としては, 上層木にクロマツ, 下層にハマヒサカキ, シヤリンバイ, ウバメガシ, トベラ, ネズミモチ等である.8.針葉樹等の上層木のみより成る森林は, 防潮の目的に対して充分なる機能を発揮することができないのみならず, 林分自身風倒の危険も多い.従つて常緑広葉樹よりなる中層, 下層まで幾層も重り合つた林型を保つことが望ましい.9.林分の高さは余り高からぬ方が安全である.耕地防風林として内部遠くまで効力あらしむるためには, 一定距離内方に第二の林帯を設けたがよい.10.汀線より相当の距離を残して防潮林を設くべきである.この間隔なきものは根元を洗掘せられ被害を大にした例が多い.11.防潮林の幅員については, 大なる程よいのは勿論だが, 小なれば小なるだけに相当の効果を表はしておる例が多い.これはその場所毎に風波の大さ, 地形, 林分の構造等により具体的に決定すべきで, 一般的基準を数的に表示するは困難である.12.防潮林と防波工作物とは各得失があるから, それぞれ適所に施設すべきであるが, 場所により, 寧ろ両者併用することが相互補短の功を奏し有利な場合が多い.13.工作物を設くる位置は防潮林を主とする場合, その中部又は内側におき, 構造は簡易なるもの, 高さ大ならざるものを可とする.
- 鹿児島大学の論文
- 1954-11-30
鹿児島大学 | 論文
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