1.鹿児島大学農学部構内で観測された降雨のpH(1988年春〜1990年夏)
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概要
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1988年4月から1990年8月まで, 主として鹿児島大学農学部構内の1建物最上階空間において採取した降雨のpHを測定した。調査期間中pHが5.6以下の雨が観測されなかったのは1ヵ月にすぎなかった(Fig.1)。測定されたpHの中でpH4.1からpH5.5までの測定例が最も多く, 全測定例(270回)のほぼ64%を占めた(Fig.2)。同じく5.6(5.6を含まない)以下のpHを示すいわゆる酸性雨は全測定例中のほぼ80%を占めた。酸性度がきわめて低い(ここではpH3.0以下とする)降雨の測定例が14回(全測定例の5%強)あった。これらのうち桜島火山の噴火にともなう降灰のかなりないし多くまざっていた場合が6回あった(Table4)。一方, 火山灰のかなりないし多くまざった降雨のpHを調べたところ, それらの雨のpHは全測定例の平均的なpHよりも多少低かった(Table5およびFig.3)。針葉樹2種, 常緑広葉樹2種および落葉広葉樹2種の樹冠を滴下する雨のpHを測定した。マルバチシャノキ(暖帯性落葉広葉樹)の樹冠を滴下する雨のpHは常に他の樹種のpHよりも高かった(Table8)。これらの樹木の葉を蒸留水にひたし, 1週間連日その水のpHを測ったところ, マルバチシャノキの水浸液が常に最も高いpHを示した(Table9)。
- 鹿児島大学の論文
- 1991-03-27