4.霧島山系におけるモミ・ツガ天然林の施業に関する研究(I) : 新床国有林について
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概要
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本研究の目的は霧島屋久国立公園内に現存するモミ・ツガ林の健全な育成維持を行うための施業法を明らかにすることである。本報では1988年に行われた霧島新床国有林のモミ・ツガ天然林の択伐の実態, そこに設定した試験地の概要および伐採によって得られた資料から森林の現況ならびに成り立ちを述べている。研究対象のモミ・ツガ天然林の伐採前の林分構造はモミ・ツガが主体で上層を優占し, 広葉樹が下層を占める二段林型を呈していた(Fig.3 and Table1 and 5)。下層には, モミ・ツガの稚樹および後継樹はほとんど認められなかったが, 一部上層樹冠の空いたところに稚樹の存在が確認された。当初, 直径24cm以上の樹木すべての伐採が計画されたが, 最終的にはモミとツガの択伐が実行された(Table4)。伐採前は, 比較的一様な樹冠構造であったが, 伐採により樹冠にかなりの偏りが認められ(Fig.5), 林内相対照度の測定結果も同様な傾向を示した(Fig.6)。伐採された樹木のうち71本について樹齢の測定を行い, 最高の樹齢はツガの438年であり全体としては3グループに区分できることがわかった(Fig.7)。このことから, すくなくとも450年前にはすでに森林が存在しており, 約300年前までは断続的に樹冠の疎開が起こりツガとモミの更新が行われた。約300年前に大規模な樹冠疎開が起こり, 非常に大規模な更新が行われ, それが終息した後はほとんど大きな樹冠の疎開を受けることなく自然に推移し, 現在のような森林になったものと推察された。現在の森林をモミとツガを主体とする健全な択伐林に誘導するための天然下種更新法を明らかにすることを目的とし, 3種類の試験地を設定した。
- 鹿児島大学の論文
- 1990-03-26
著者
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