3.奄美大島に生育する広葉樹材の材質特性と用途(4) : アサグロおよびツンギ材について
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概要
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アサグロ(Scalifelra octophylla Harms)およびツンギ(Quercus migagii Blume)の同一種は, それぞれ南九州以南, 近畿地方南部以西より中国, 台湾の暖帯ならびに亜熱帯にわたり分布している常緑高木である。本報告では奄美大島にある岩崎産業(株)社有林より採取したアサグロ(樹齢48年)およびツンギ(樹齢61年)の基礎材質とこれに基づいた今後に期待される利用について検討した。供試木はそれぞれ地上20cmのところで伐採した長さ4mの元玉1本である。この丸太の元口から3mの部分は機械的性質を, それ以上の部分は組織的性質および物理的性質を求め, また製品の試作に利用した。本報告では主に両樹種の機械的性質(曲げ破壊係数, 曲げ弾性係数, 衝撃曲げ吸収エネルギー, 縦圧縮強さ, 板目面および柾目面のせん断強さおよび割裂抵抗)を求め, あわせて, これからの値の樹幹内の横断面半径方向の変動を検討した。結果の要約はつぎの通りである。1.アサグロおよびツンギの生材含水率の樹幹内横断面半径方向の変動はいずれの樹種も樹心部分より樹皮側に向かって曲線状に低下する。アサグロの髄に近い部分で約68%, 最も樹皮に近い部分で25%程度を示した。一方, ツンギのそれは樹心部分で約75%, 最も樹皮に近い部分の生材含水率は約36%であった。樹幹内の生材含水率の平均値はアサグロで52%, ツンギ60%であった。2.アサグロの気乾比重は0.40〜0.50の範囲が全体の約76%, ツンギでは, 0.60〜0.70の範囲が全体の約68%を示した。気乾比重の全平均はそれぞれ0.44,0.71であった。3.本実験で得られたアサグロの機械的性質は, ドロノキ, サワグルミ, ツンギのそれはミズメ, アサダと同程度の値と考えられる。4.アサグロおよびツンギの用途は, 奄美大島における蓄積量から見て工芸品もしくは器具類(仏壇等の部材)に適切と考えられる。
- 1990-03-26
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