3.桜島における土石流の観測記録(II)
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概要
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活発な火山活動を続けている桜島の北側斜面における1980年から1985年までの6年間に得られた土石流観測記録および降雨観測記録により, 桜島土石流の特性, 土石流発生・流出に及ぼす降雨条件などについて検討した。得られた結果をまとめると次のようである。1)桜島土石流の構成材料は溶岩, 軽石, 火山灰, 流木などである。土石流の構成材料は, 上流部の地質や侵食段階により渓流ごとに性質が異なる。2)観測された土石流のほとんどは泥流状の流動形態を示し, 土石流の先端速度は最大流速となっていない。3)土石流の発生時刻は最大10分間雨量の発生時刻とよく対応している。土石流の発生記録によると, 土石流発生の最小の限界降雨条件は累加雨量10mmのとき10分間雨量5mm程度, 同様に20mmのとき3mm程度, 40mmのとき2mm程度であった。4)ピーク流量の大きい土石流は一般に流出量も多い。土石流の流出量は, ピーク流量が同じ規模である場合は集水面積の大きい渓流ほど多い。5)土石流のピーク流量は降雨強度に関係している。ピーク流量は集水面積にはかならずしも依存していない。6)土石流の流出量は降雨量, 降雨強度の両方に関係している。また, 流出量は集水面積にも影響されている。7)土石流の流出量と総雨量の比で定義される土石流の流出率は, 土石流のピーク流量および流出量が大きいほど高くなる。土石流の流出率は, ピーク流量あるいは流出量が同じ程度である場合は集水面積の小さい渓流の方が高い。
- 1987-03-20
著者
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