自らが持てるものを誇りとせよ : 『ピアノレッスン』にみるオーガスト・ウィルソンのアフリカ系アメリカ人としてのアイデンティティー論
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概要
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オーガスト・ウィルソンは1990年代初頭にアメリカ演劇界で注目を集めるようになり、アメリカ演劇の新たな方向性を示した。ウィルソンは、歴史的、文化的視点からアフリカ系アメリカ人の体験を顧みて、彼らが持つアフリカ系アメリカ人としてのアイデンティティーとアフリカの血を賞賛している。この点で『ピアノレッスン』(1990年)はウィルソンの傑作の一つに数えられるだろう。アフリカ系アメリカ人に対して冷たい白人優位のアメリカ社会において、アフリカ系アメリカ人が自己のアイデンティティーを持ち続けることは可能なのだろうか。この間いにウィルソンははっきりと「イエス」と答える。だが、どうしてそれが可能なのだろうか。本論では『ピアノレッスン』において、ウィルソンが、自らの成長と文化的アイデンティティーの形成に重要な役割を果たした南部をテーマとし、これらが南部を通してアフリカにつながっていると見ている、ということを論ずる。まず、作品の中で南部がどのように描かれているか(南部の文化、過去、神話、そしてアフリカとのつながり)を詳しく見てゆきたい。その上でアフリカ系アメリカ人のアイデンティティーについてのウィルソンの問題意識が、文化的、政治的課題としてだけでなく作劇法上もつ意義に注目する。そして最後に、基本的にアメリカの黒人の未来の可能性を保証するものとしてウィルソンがアフリカ系アメリカ人のアイデンティティーを賞賛しているという結論を導き出したい。
- 2006-03-31
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