イギリス政治劇作家David Hareの3部作 : パフォーマンス分析
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概要
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David Hare(1947-)はイギリスを代表する現代政治劇作家の1人である。「演劇界におけるイギリス社会制度の監視人」の異名をとるHareは,1970年に劇作を始めて以来,報道機関,英国国教会,司法・政治制度などを題材にした,いわゆるNew Leftと呼ばれるスタンスによって描かれた政治劇を数多く発表してきた。1991年10月,イギリス司法制度について取り上げた作品『Murmuring Judges』がロンドンのナショナル・シアターで上演され,大成功を収めたことにより,政治劇作家Hareの名はよりいっそう知られるようになった。昨年5月に起こった大きな政治的変化-18年間続いていた保守党政権からTony Blair率いる労働党政権への政権交代劇-などに見られるように,今世紀末のイギリスは,政治的・社会的変容の時代を迎えている。この意味でHareの描く現代イギリスの政治劇は,その時代を顕著に映し出す,いわば鏡のような役割を担っていると言えよう。本稿では,1993年に前述の劇場において「The David Hare Trilogy」と題し上演された,上記『Murmuring Judges』を含むHareの政治劇3部作(現代英国人と宗教の問題を描いた『Racing Demon』と,1992年イギリス総選挙における労働党の選挙運動をモデルにした『The Absence of War』の2作品と共に上演)をプロット,登場人物の性格描写,演出,テーマという4つの側面から,パフォーマンス分析を試みた。そして,これら3部作の分析を通して,Hareにとっての「政治劇とは何か」について論じた。
- 1998-07-15
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