二衝程式機關の瓦斯充填作用の研究 : 氣流寫眞應用(序報)
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概要
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上述の如くこの實驗は未だ不完全なものであるからこゝで結論に急ぐのは稍早計の嫌ひがあるから、摘要と云ふ名目の下に著者が今迄の實驗により得た考察を一括して書きつける。然し研究が進むに從ひ改訂の必要が必らず起るであらうと思ふ。内容は(A)煙寫眞の方法に對する批判、(B) deflector優劣の判定に關する考察との二つの部に便宜上分ける。(A)煙寫眞の方法は此種の研究に對しては非常な特長を持つ。それは非常に簡單で、そしてModelは實物通りの形に出来その任意の斷面をしらべる事が出來ると云ふ事である。Schlieren法などではそれら二つの點に於て缺けるところがある。Aluminium粉を使ふのもよい方法であるが粉の取り扱ひに面倒がある。空氣と煙とのdensityの違ふと云ふ缺點は否むわけには行かないがaluminium powderを使ふものよりはよく又Schlieren法でもhot airと云ふdensityのちがふものを入れるのであるから大局より見てそれよりもよいかも知れない。他の方法に比し缺點と思はれるのは照明の弱いと云ふ事である。これのために今度の實驗では非常に實際のものとちがふ状況でしか試験が出來なかつたのであるが、これは光源のうんと強いのを使ふ事により或程度迄逃げる事が出來ると思ふ。只今は太陽を光源に使ふ様に工夫中である。これらの事で今迄のものよりずつと高速の氣流につき實測が出來ると思ふ。そこで若し實際の發動機通りに行かない迄もそれに近づく時の變化の大勢はつかまへられると思ふ。然し前章でのべた如く優劣の非常に甚しいもの或は氣流の單純なものならば低速寫眞でも大體判定はなし得られることをefficiencyの實測の結果と對比して知り得たのである。而して煙寫眞判讀の要領はと云へばこれは全く常識によるばかりである。(B)煙寫眞と、前回の效率實側との両方面より見て、大體如何にすればよいdeflectorが得られるかの見當がつきさうに思ふ。先づport及びpassageについて云へば、これはcoefficient of dischargeを高めるためにもまたcharging efficiencyを上げるためにも、つとめて滑らかな通路としsharp edgeは出来る限り去りeddyの出來ない様に努力すべきである。又transfer portの出口の形は重大な關係を持つ。これはそれに到達するpassageと共に一つのnozzleと考へるのが至當であり、それを適當に造ればpistonの上に特にdeflectorを附するには及ばない。只piston headを中高のものとする位で足るであらう。deflector其物の形についてはこれは様々の物が考へられるがcylinder中にdivergent convergentの滑らかな通路を造る如き大體の形であるべきである。さうすればexhaustの急開によりその後方に巻き起されると想像される渦も、又、transferによつて生ずる渦も最少ですみU型engineに於て起る如きchargingが可能である。この意味に於て單に平板を立てた如き形は常に不完全であると考へてよい。この場合には必らず平板の後方のspaceに著しい渦流が出來それを介してnew chargeがexhaustに近道する。でこの背後のspaceはdead spaceと云ふよりむしろnegative spaceと考ふべき物で有つて益のないところか却つて害があるのであるから、恰好如何にかゝはらず、とにかくつぶすべきである。それと同じ意味で、このspaceを何等かの方法で小さく區切ると云ふことの價値が認められる。又transferの噴流を單一とせずに數本に分け各の生ずる渦が互に消し合ふ様に組み合す時には非常に效率を高める可能性がある。次にcylinder headの恰好であるが、これはさうひどい影響をcharging efficiencyに與へない様に思ふ。何となればそれが角ばつて居るために出來ると思はれるdead spaceは極微小であり又そこの渦卷はexhast portには何等直接關係を持たないからである。
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