束縛理論の最小適用について
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概要
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この論文では,自然言語に見られる先行詞とそれに依存する要素の間の束縛関係を捉えるためにこれまでに生成文法の枠組みで提唱されてきた2つの接近法,すなわち,多重レベル接近法と,複数コピー接近法を検証する。前者の接近法は,束縛理論の原理が派生の特定のレベルに適用を限定せず,あらゆる段階で適用されると仮定する。一方,後者の接近法は,移動によって作り出されるコピーのうち,特定のコピーにではなく,複数のコピーにこの原理が適用されると仮定する。再構築効果から得られるいくつかの経験的な論拠に基づいて,この研究では束縛原理が単一のレベル(すなわち,論理形式)で単一のコピー位置(すなわち,再構築位置)に適用されるとする,単一レベル単一コピー接近法がこれら2つの接近法より優れていることを明らかにする。その結果として,この研究は束縛原理が解釈規則であるというノーム・チョムスキー(1995)の仮説を支持するだけでなく,束縛理論の適用を最小限にするという点で,制限的な束縛理論を提案できることを結論付ける。
- 大阪教育大学の論文
- 2006-02-28