只見川水系における絶滅危惧種ユビソヤナギの分布と河畔林の組成・構造
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概要
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2003年8月、福島県只見川水系伊南川において希少樹種の一つであるユビソヤナギの国内5番目の自生地を発見した。伊南川流域におけるユビソヤナギの分布は、只見川合流付近から上流40kmにおよび、本支流を合わせた分布の総延長は45kmであった。また、只見川の一支流である叶津川にも一部分布した。只見川の支流、伊南川と叶津川に分布するユビソヤナギを含む河畔林は、クラスター分析により群集組成の上から主要構成種であるヤナギ科植物3種の優占度の違いにより5タイプに類型化できた。これらの組成は、東北地方に広く分布するシロヤナギ群集(Salicetum jessoensis Ohba 1973)に類似していた。しかし、こうした林型と立地環境や林齢との間には明瞭な関係が見出されなかった。ユビソヤナギを含むヤナギ林はいずれも45年生以下で、サイズ構成では一山型の分布を示し、河川撹乱後の砂礫堆積地で一斉更新し、林分が形成されたことを示した。伊南川流域ではユビソヤナギの自生地が砂防・治山事業などで直接・間接的に影響を受けて失われており、種の保全対策が緊急に求められる。
- 日本生態学会の論文
- 2006-12-05
著者
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