先カンブリア代東ゴンドワナランドの最近の研究
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概要
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東ゴンドワナの陸片各地における最近の研究成果をまとめ,先カンブリア代の東ゴンドワナ融合過程と,大ゴンドワナ形成時までのテクトニクス史の考察を行った.南極を中心とする先カンブリア代の東ゴンドワナ再構成は,多くの事実によって詳しく吟味され,信頼度が高いものになっている.南極と南東アフリカ,南極とインドースリランカ,南極とオーストラリアのいずれについても,多くの地質や地学事件の対比に基づいて確実な先カンブリア代対置関係が得られている.それぞれの対置区がお互いに重複せず,矛盾しないてんは,このようにして得られた東ゴンドワナの全体的再構成の信頼度を保証している.再構成された東ゴンドワナに於いて顕著に認められる東南極をとりまく11億年前の変動帯(周東南極変動帯)は,東ゴンドワナの形成テクトニクスにおいて基本的な役割を持ったと考えられる.周東南極変動帯の東部では右横ずれ場,中央部および西部では変動帯直交の圧縮場であったことが指摘されるが,このことが東ゴンドワナ形成の巨大テクトニクスにおいてどのような意味を持つのかが今後の興味ある問題である.東ゴンドワナにおけるパンアフリカ事件(5〜7億年前)は,基本的には周東南極変動で融合完成した巨大大陸地殻の再変動であると考えられる.しかし,このパンアフリカ変動が東ゴンドワナ形成に大きな役割を担った可能性もあり,今後の重要な研究課題である.最近東南極の複数の地域で発見されたネオ原生代の地質体は,このてんで重要であり,今後の研究の突破口となる可能性がある.
- 1997-09-25
著者
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