「住教育」の観点からみた社会科教育 --柳田社会科「第二次単元」の構成分析を手がかりとして--
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概要
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本研究は「住教育」に注目し,社会科ではどのように「住」が取り上げられているのか,まず現行の小学校社会科学習指導要領解説の分析をするとともに,柳田国男によって提起された柳田社会科の「第二次単元」における「住」の取り扱いについて,その構成分析を中心に検討したものである. まず,現行の平成10年度版小学校学習指導要領では,総じて,第5学年の内容に象徴的 に示されているように,「食」と比較して「住」の取り扱いは少なく,住居の構造や内部機能を中心的題材として位置付けたり,さらにはその家を自らどのように作っていくかなどの「住」空間の主体的創造といった観点は見受けられない. こうした現状に対し,かって「住」の観点を社会科に大きく取り上げたのは柳田国男による「第二次単元」であった. 「第二次単元」では,4年次の「単元」として「すまい,あかり,燃料」を設定し,屋根や間取りなどの構造,農村部や都市部,さらに外国の住居との比較,あかりや燃料の工夫と変遷などの学習を通して,暮らしの中の「住」の観点から社会科の学習を進める構成がなされている. こうした柳田の発想は,今日の社会や生活を見据える教育の在り方を考える上でも多くの示唆を与えるものである.
- 2006-04-28