ヒザラガイの歯舌に含まれる鉄化合物のキャラクタリゼーション(<特集号>第2回国際ヒザラガイシンポジウム)
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概要
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ヒザラガイ類は歯舌の中に主成分として磁鉄鉱(Fe_3O_4)を持つことで知られている。先行研究では無機成分により鉱物化された第二側歯の形成過程から,ヒザラガイ類を2,3のタイプに分類していた。本研究では,ヒザラガイAcanthopleura japonicaの歯冠部に含まれる鉱物成分とそれらの2次元分布を求めるために,X線回折(XRD)とX線マイクロプロープアナライザー(EPMA)を用いて研究を行った。XRDにより磁鉄鉱(Fe_3O_4),針鉄鉱(α-FeOOH),鱗鉄鉱(γ-FeOOH),ハイドロキシアパタイト(Ca_5(PO_4)_3(OH))など複数の結晶成分が検出された。EPMAにより歯冠断面の2次元分布においてFeと(Ca,P)の分布が異なることがあることが示された。これらの結果は,歯の構成成分について,どのような種類の鉱物を,歯舌の形成過程の中のどのタイミングで,歯冠の内部のどこにどのような状態で形成するかを緻密にコントロールした,ヒザラガイの生体鉱物化システムを明らかにした。また,これらの結果より,ヒザラガイの第二側歯の形成過程は,5つの段階に分類できることが分かった。
- 2006-05-31
著者
-
沼子 千弥
徳島大学総合科学部
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小藤 吉郎
Faculty Of Integrated Arts And Sciences University Of Tokushima
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沼子 千弥
Faculty of Integrated Arts and Sciences, University of Tokushima
-
築山 義之
Faculty of Integrated Arts and Sciences, University of Tokushima
-
築山 義之
Faculty Of Integrated Arts And Sciences University Of Tokushima
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