外骨格 : 軟体動物の進化を辿る(<特集号>第2回国際ヒザラガイシンポジウム)
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概要
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体の背側を覆う外骨格の形成の過程は,先カンブリア紀から現在に至る軟体動物および軟体動物様の動物を見ることによって知ることができる。本研究では,多板類,無板類,ネオピリナ,オウムガイ,イシガイ類,その他の介殻亜門の外骨格形成の様式,そして,Kimberella,Halkieria,Wiwaxia,Maikhanella,Multiplacophora,Acaenoplaxの進化過程についても考察した。骨針(sclerite)と殻は,下記のような段階を経て進化したものと推定される。(1)外套膜の表皮のみ(Kimberella)から,(2)表皮に付着する骨針の発達(Maikhanella)へ発達する。(3)表皮に埋もれた骨針,あるいは骨針と殻が発達し,骨針は陥入した個々の細胞の中で形成される。殻は原殻皮(properiostracum)上に付加されることによって形成される(Halkieria,Wiwaxia,Multiplacophoraを含む多板類,無板類,Acaenoplax)。(4)骨針が消失し,外套膜の縁に殻皮が発達する。殻は外套膜縁の殻皮に付着するようになる。殻は,細胞の内部で形成される円柱状のアラゴナイトによって形成される(オウムガイ,おそらくネオピリナ)。(5)空隙のある殻皮の中層で結晶化が起こるようになる(イシガイ類,イガイ類)。(6)外套膜外液から殻皮上に直接結晶化が起こる。(4)〜(6)の課程では,骨針が消失し,殻は背側を覆う外套膜の外側に形成される。移動のための足の形態には様々な形式が生じ,外骨格は一体化する。AcaenoplaxとWiwaxiaは軟体動物でも環形動物でもなく,むしろ議論の対象となっている全てのグループを含むクレード(Spiculata)の中に位置づけられると考えられる。
- 2006-05-31
論文 | ランダム
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