情報技術の活用により高齢者の社会参画を拡大する方策の実証的研究(情報技術の活用により高齢者の社会参画を拡大する方策の実証的研究特集号)
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概要
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この研究は,急速に発展しつつある情報技術を効果的に活用し,高齢者の社会参画を質的にも量的にも拡大する方策を求めることを目的とし,研究課題名を和文「情報技術を活用した高齢者の社会参画を拡大する方策」英文「An Empirical Study on an Effective Policy Mix for Promoting social Participation of Aging Population by use of Information Technology」と定めて,平成13,14,15年の3年間にわたり,熊田が主査となって経済研究所の共同研究として遂行してきたプロジェクトであり,この報告は研究活動に協働した研究者全員で執筆されたものである。研究の意図について日本社会は人間が経験したことのない超高齢社会に突入しつつある。超高齢社会の活力を維持していくために,高齢者が経済,文化,学術,環境などさまざまな領域で社会における活動を支え,若い世代と協力して社会に貢献し,社会とかかわりを持つ機会を確保,提供していくことが重要であり,多くの高齢者,ならびに高齢者予備軍も,多世代共生の新しいあり方を強く求めている。一方,こうした高齢者の就業,社会活動への参加等については,財団法人高年前者雇用開発協会を始めとして,これまで起業や雇用・就業を中心にさまざまな調査研究を通じた提言,促進策が講じられ,またボランティア活動から趣味等の領域に至るまで,各分野での取り組みが進められてきた。しかしながら,それらは必ずしも総合的,体系的なものではなく,また,IT技術の進展等に伴う,変化への対応も欠かせない課題であり,今後高齢者のニーズを把握し,地域特性等にも配慮し,高齢者の社会参画を促進する要因を解明する調査を行い,21世紀の高齢者に生きがいのある幅広い社会参画の活動に多くの選択肢を用意する知見を求め,時代の火急的要請にこたえる研究を行う。と研究計画書で主張している。平成13年度の研究は熊田禎宣(千葉商科大学教授)が主査で宮崎緑(千葉商科大学助教授),田中美子(千葉商科大学助教授),鐘ヶ江秀彦(東京工業大学助手(当時)立命館大学助教授(現在)),田中欧秀(日本大学講師(当時)筑波大学助教授(現在))の5名で着手したが,この時点から数理社会学の専門家である群馬大学社会情報学部の富山慶典教授の協力を得て研究を進めた。14年度は熊田(主査),宮崎,田中(美)の千葉商大の3名に富山教授を加え4名でプロジェクトを進め,平成15年度はとりまとめの年度で,熊田,宮崎の2名で研究の推進にあたった。この報告は,1章は「高齢者の活力ある社会参画を実現するための基盤づくり」と題し,この世に生を受けた誰でもが,人生の終わりまでいつでも,新しい出会いやニューチャレンジができる,多世代共生を可能とする人間づくりと社会づくりを主題として扱っている。この章は13年度に日本地域学会で発表を行った。2章は心身脳の加齢による「衰え」を克服して高齢者が社会で働き続ける条件を求め「交流の6段階モデルによる高齢者の社会参画を促進する要因分析」と題し,繊維産業の盛んな桐生での世代交流実験の実例調査を行った成果を報告している。この章は14年度に日本地域学会で発表を行った。3章は全国にさきがけて超高齢社会に突入しつつある奄美を対象に前章のケースとは異なった社会参画の条件づくりを調べるため,「高齢者の社会参画による持続社会づくり〜奄美のケーススタディ〜」と題し,多世代間の交流の促進に焦点をあてたケーススタディを行った。この章は14年度に日本地域学会,15年度に日本地域学会,日本社会情報学会シンポジウムで発表を行った。4章はこの共同研究プロジェクトのとりまとめをしている章であるが,「情報技術の活用により高齢者の社会参画を拡大する方策」と題し,政策評価への市民参画と情報技術の活用によって定年の廃止を促進できるかをいくつかのアンケートで調べ,高齢者の持続的な参画を確保するための知的なサポートをする「科学の駆け込み寺」づくりをこの研究による提案として示している。この章は,14年度の日本地域学会,日本社会情報学会シンポジウム,15年度の日本社会情報学会,日本計画行政学会で発表を行った。16年度1月に千葉商科大学で開催される第11回社会情報システム学シンポジウムでまた成果を発表し,専門家の評価を反映して最終報告書をつくることにした。この研究は日本政府が30年以上も前の立法で国民に約束しているにもかかわらず,次第に悪化している高齢者の社会参画の実現を情報技術を駆使して促進する方法を探るために行ったのであるが,笞えは,1)定年の廃止を行う組織を増加させる,2)多世代の交流による共生関係づくり,3)高齢者の活用に関する科学の駆け込み寺づくり,であった。さらにこれらの効果をたしかめる作業もしてみたいものである。
- 千葉商科大学の論文
- 2005-03-31
著者
-
田中 美子
千葉商科大学政策情報学部
-
田中 美子
千葉商科大学
-
熊田 禎宣
千葉商科大学
-
宮崎 緑
千葉商科大学
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鐘ヶ江 秀彦
立命館大学
-
田中 政秀
筑波大学
-
宮崎 緑
千葉商科大学政策情報学部
-
熊田 禎宣
千葉商科大学政策情報学部
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