Tissue engineeringにより作製された再生耳介軟骨における折り曲げ応力の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年,先天性ならびに後天性の耳介欠損に対して,Tissue engineeringによる耳介軟骨の作製が試みられている.Tissue engineeringによる耳介軟骨の作製にあたっては,耳介軟骨の三次元形状の維持と弾力性のある耳介軟骨の作製が求められている.再生耳介軟骨の三次元形状については,これまでの研究により報告してきたところであるが,その力学的特性としての弾力性の獲得については,現在までにその詳細な報告がなく,その究明が急がれている.本研究は,その点を明らかにするために行ったものである.本実験では,仔ウシの耳介軟骨,肩関節軟骨,鼻中隔軟骨,肋軟骨から採取した軟骨細胞を,ヒト耳介形状を有する生分解性ポリマーに播種し,無胸腺マウスの背部皮下において耳介軟骨を再生誘導した.作製された再生耳介軟骨については,Instronを用いて折り曲げ応力を測定した.その結果,耳介軟骨由来の再生耳介軟骨は,経時的に正常ウシ耳介軟骨の性状に近づく傾向を認めた.一方,肩関節軟骨,鼻中隔軟骨,肋軟骨由来の再生耳介軟骨では,正常ウシ耳介軟骨との間に有意差を認め,特に肋軟骨由来の再生耳介軟骨では,軟骨の弾力性は失われ,著明な硬化傾向を認めた.この結果から,Tissue engineeringによる耳介軟骨の作製にあたっては,採取部位として,耳介が最も適していることが,力学的特性の面からも明らかとなった.以上の結果は,今後,採取軟骨を仔ウシからヒトへと移す過程に応用され,再生耳介軟骨の臨床応用の加速に貢献するものと思われる.
- 近畿大学の論文
- 2005-12-25
著者
関連論文
- 自家骨を用いた眼窩骨折手術症例の臨床的検討 : 術後1年経過時の予後について
- 高度下眼瞼外反症の手術経験
- 高齢者における顔面骨折手術症例の臨床的検討
- 3次元レーザー形状計測装置を用いた広背筋弁による乳房再建の整容性の評価
- 指尖部切断術後に生じた Cold intolerance に対するPGI_2の治療効果
- 指尖部切断術後に生じた Cold intolerance に対するPGI2の治療効果
- 指・指関節の再生
- Blow-out 骨折をヒントにした眼窩内腫瘍に対するアプローチの工夫
- 広背筋皮弁移植による一次再建 (特集 乳房部分切除に対する乳房再建 update)
- Tissue engineeringにより作製された再生耳介軟骨における折り曲げ応力の検討