愛玩動物と有用脊椎動物におけるDNAおよび染色体分析による遺伝的集団構造解析とその応用(共同研究,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
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概要
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微量組織からの個体識別の可能性を探るため,被毛からのDNAを解析した。イヌではmtDNAのD-loop超可変領域を中心とした714bpの塩基配列変異に基づいて,21犬種149頭を26のハプロタイプに分類できた。小型犬に特徴的なハプロタイプはみられたが,品種特異的な塩基配列は確認できなかった。ネコでは,mtDNAのD-loop高変異領域の塩基配列(442bp)変異に基づいて,135個体のネコを47のハプロタイプに分類できた。heteroplasmyも見られ,本研究で解析したネコのmtDNAのD-loop領域は,比較的多様性に富んでおり,ネコの個体識別をする上で有用であることが分かった。本邦固有種で,有用資源であるシシャモの遺伝的集団構造を調べた。シシャモmtDNAの一部について塩基配列を決定し(5859bp),D-loop可変領域に新規のプライマーを設定した。この領域の塩基配列(約1kbp)変異に基づき,遊楽部川,鵡川,十勝川,釧路川,北海道太平洋沿岸苫小牧沖の5地域由来のシシャモ108個体を21のHTに分類した。各集団間のハプロタイプの出現頻度に有意差は認められず,遺伝的距離も極めて小さかった。これらのことから,北海道のシシャモ集団が遺伝的に均一である可能性が示唆された。ネパールに生息し,食用肉の生産に適するヤギのKhari種の系統関係を明らかにするため,ネパール国内6カ所からの計27個体について,D-loopの一部の塩基配列(453bp)を調べた。見つかった17種類のHTは,系統樹から大きく3つのクラスターに分類され,Khari種には大きく3つの母系起源があることが推察された。明確な地域特異性は得られなかった。キンギョを含むフナ属特異的およびコイ特異的DNAを増幅するPCR法を開発した。この技術をコイとキンギョの生殖キメラ個体のDNAによる識別に応用した。
著者
-
荒井 克俊
北海道大学大学院水産科学研究科育種生物学講座
-
福岡 秀雄
麻布大学獣医学部
-
荒井 克俊
北大院水
-
村上 賢
麻布大学大学院獣医学研究科
-
村上 賢
麻布大学大学院分子生物学研究室
-
荒 井
北海道大学大学院水産科学研究院
-
荒井 克俊
北海道大学大学院水産科学研究科
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