ヒト成長ホルモン遺伝子導入ラットで生じる過食に対するニューロペプチドYの関与(生理学)
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概要
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我々の研究室で作出されたヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子導入ラット(TG)はラットGH及び遺伝子導入したhGH共に低値を示し,さらに過食と肥満を呈する.TGで生じる過食の原因を解明するために,摂食促進作用を有するグレリンの血漿中濃度とグレリンによる調節を受けているニューロペプチドY(NPY)の視床下部内含有量を測定した.血漿中グレリン濃度は暗期開始前に両群とも上昇し,その後WTでは急激に減少したのに対し,TGでは高値を維持していた.弓状核(ARC)及び室傍核(PVN)内NPY含有量は両群共に暗期開始前に上昇し,暗期開始と共に低下した.TGのARC内NPY含有量は全ての時間帯でWTに比べて有意に低値であったのに対し,TGの暗期開始前のPVN内NPY含有量はWTに比べて有意に高値であった.以上の結果は,TGではARCからPVNへのNPYの輸送が亢進していることを示唆している.さらに,NPY受容体の影響を確認するために,Y1及びY5受容体に対する拮抗剤の投与実験を行ったところ,WTよりTGでより摂食量の減少が確認された.また,TGに組換えhGHを1日に4回,7日間に渡って投与したところ,脂肪重量,血中トリグリセリド濃度が低下すると共に,摂食量も有意に低下した.本研究より,GH分泌低下により,グレリン-NPY系が亢進した結果,TGでは過食が生じていることが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2006-09-25
著者
-
西原 眞杉
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医生理学研究室
-
山内 啓太郎
東京大学大学院農学生命科学研究科
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山内 啓太郎
東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医生理学教室
-
山内 啓太郎
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医生理学教室
-
穂積 裕幸
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医生理学研究室
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