市場型間接金融の機能とリスク : 学説、歴史、実務面に注目して
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概要
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銀行の不良債権処理が峠を越し、金融システムが安定性を取り戻しつつある今、これまでの間接金融優位の産業金融モデルを見直し、市場機能を取り入れてリスクを分散させうる条件と、リスクに見合った金利(リターン)が得られる条件が比較的整っている市場金融モデル(市場型間接金融)の構築を検討する必要性が高まっている。本稿では、市場型間接金融を中核とする複線的金融システムの構築の必要性について述べている金融審議会答申を先行研究と捉え、市場型間接金融の定義や機能について、シンジケートローンを中心に、証券化、投資信託業務における学説的、歴史的、実務的な面での間接金融との比較を通じて分析する。また、わが国ではリスクに見合ったリターンが形成されうるシステムが定着するのかについても概観する。シンジケートローンにおいては、転売市場が整備されない限り市場の流動性は増えず、リスクの分散やリスクに見合ったリターンの形成は十分には達成されないと考えられる。
- 尾道大学の論文