織物のしわに関する研究(第1報)
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概要
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日常よく使用されている市販の布地9種類のしわに関係した実験を要約する.しわの評価はJISの防皺度測定方法により得た数値によって行なった.1)しわの方向性◎除重直後に著しい方向性が見られ,特にバイヤス方向に大きいしわ角を示した.除重後の経過時間5minと10mimでは経緯両方向のしわの回復がバイヤス方向より良好で,バイヤス方向にしわ角のピークを示していた方向性が緩和された.すなわちバイヤス方向はしわになりにくいが,しわの回復は経緯両方向より悪い.また経方向が緯方向よりいくぶんかしわになりにくい.◎弾性の劣るCotton・Rayon・Linenはしわの方向性が著しく,また回復も悪い.弾性にすぐれているWool・Panelonは除重直後においてもしわ曲線は円形または,だ円形ではっきりしたしわの方向性がない.特にPanelonは不織布であるために,しわに影響する糸や織物の構造がないのでしわ曲線は,しわ角を半径とする円形となってしわの方向性はまったく認められない.2)吸湿によるしわの変化◎一般に吸湿するとしわになりやすく,特に吸湿性の大きいWoolとSilkの耐しわ性の低下が著しい.◎放湿速度の遅いWoolはしわの回復が緩慢であり,放湿速度の速いLinen・Nylon・Tetoronはしわの回復が速く,除重後の経過時間5minまでにほとんど回復し,それ以後は目立った回復が見られなかった.3)荷重時間としわの関係◎一般に荷重時間の延長がしわに及ぼす影響は少ない.荷重時間5minと10minの間でしわを生じ,それ以後のしわの増大はわずかである.◎ヤング率の小さいNylon・Woolは荷重時間による影響は比較的少なく,Silk・Rayon・Linen等のヤング率の大きいものは荷重時間による影響がやや大きい.4)しわの回復性◎しわの回復は除重後の経過時間20minまでにほとんど回復し,20min以後の回復はごくわずかで,ほとんど永久じわとなって残る.◎弾性回復の遅いWool・Nylonはしわの回復が緩慢であるが,弾性回復の速いSilk・Acetateはしわの回復がいくぶんか速い.しかしPanelon・Wool・Nylonは永久じわとして残る分量がきわめて少ない.[table]
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1962-12-10
島根県立大学短期大学部 | 論文
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