袋入豆腐の食品衛生学的考察
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概要
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1.包装食品中,近年広く市販されている袋入豆腐を選びこれが食品衛生上の見地より検討を加えた結果,保存温度別についてみると,比較的低温に保存したものは製造直後の製品に比し一般細菌数はわずかに増加しているが,大腸菌は共に陰性で良好であったが,これに反し,室温に近い温度で24時間保存したものは一般細菌数は著明に増加し大腸菌群も陽性となり,袋入豆腐と言えども保存温度の重要な事を確認した。2.ポリエチレン袋は,膜部,接着部,結束部のいずれからも大腸菌は殆ど透過せず安全性が大であったので,大腸菌が万一検出した場合は製造工程時の結束後の加熱不足による菌の残存が当然考えられるところである。因に,豆腐より分離した大腸菌株の熱抵抗は90℃5分,40分60℃であったので,普通一般市販の袋入の形となった場合,又大量の袋の加熱処理の場合,共に加熱の温度,時間不足による袋内部への温度伝達が十分行なわれていないのではないかと考えられる。この事は加熱時における豆腐の中心部温度と"湯づけ"の場合の湯温度の差の点からも考え合わせて,最低90℃40分加熱の線は厳に守られるべきであろう。こゝにおいて,袋入豆腐は包装形式として消費者に渡る過程としては細菌学的に殆ど完全であると考えられ,従来の角豆腐に比較すれば食品衛生的に良好な成績が得られ,2次汚染防止が可能であるけれど,これに気を許す事なく製品の保存は温度10℃以下とし,生鮮食品等と同様の取扱いが必要であると考えられる。終りにあたって,御指導,御協力をいただきました島根衛生研究所玉造俊夫技師及び所員の方々に厚く感謝いたします。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1966-03-01
島根県立大学短期大学部 | 論文
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