島根における乳幼児の実態(第2報) : 必須アミノ酸の栄養学的検討
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概要
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1.1日平均摂取総蛋白質量は55gで所要量を上まわった.3食を比較すると,朝食12g±5.4,昼食15g±7.5,夕食19g±9.2で,動蛋比をみると,昼食が最も低く35%で,朝食40%,夕食50%であった.動蛋比0のものは昼食19%,朝食16%の多くを認めた.2.アミノ酸構成を理想蛋白と比較してみると,基準構成に達しないものは,トリプトファン,含硫アミノ酸合計,メチオニンであった.毎食について見ると,すべて朝食が高い値を示し,夕食,昼食はあまり差が認められなかった.しかし朝食,昼食の標準偏差は大であり,相当の広がりを認めた.3.蛋白価についてみると,朝食が最も高く79で,次いで夕食,昼食とも72を得た.昼食は蛋白価が低い上に標準偏差も大で3食中最も蛋白価は劣った.4.第1制限アミノ酸を種類別に見ると,4種中,トリプトファンが最も多く,58%を占め,含硫アミノ酸合計,メチオニン,リヂンとなっている.リヂンは,ほとんど昼食に見られ,動蛋比の最も低いこととも結びついている.5.必須アミノ酸摂取量と動蛋比の相関についてみると,リヂン,メチオニンは相関係数0.7で順相関を認めた.やゝ相関を認めたものは,含硫アミノ酸合計,イソロイシン,スレオニン,バリン,ロイシンであった.トリプトファン,フェニールアラニン,チロシンは,ほとんど相関が認められなかった.6.第1制限アミノ酸となった4種と動蛋比の相関について見ると,リヂンは動蛋比20%以下においてのみ見られ,著しい相関が認められた.次いでメチオニン,含硫アミノ酸合計であった.以上から,動蛋比20%以下にのみリヂン補足の必要性が認められ,又リヂンのみでなくメチオニンも同時に考慮する必要があると考えられる.動蛋比30%以上になれば,トリプトファン,メチオニン,リヂンを同時に配慮する必要があると考えられる.7.蛋白価と動蛋比の相関について見ると,0.6の相関係数を得,相関を認めた.しかし動蛋比0の例が14%の多くを示したのでこの結果を得たものと考えられる.以上の調査から,幼児期における3食のアミノ酸バランスに著しい相異がある事が認められ,家庭における昼食が幼児にとって多くの問題を含んでいる事が判った.又幼児期のアミノ酸補足の問題については,その必要性,補足アミノ酸の種類が動蛋比からある程度推察する事が出来ると思われる.これは,今後の幼児期における栄養指導の面の一つの手がかりとなるものと思う.
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1965-01-30
島根県立大学短期大学部 | 論文
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