Escherichia coli(K-12)によるリン脂質生合成
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概要
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生育時期の異なる菌体,即ちearly exponentialおよびstationary phaseの菌体から調製した分画における^<32>P-正リン酸あるいは^<14>C-グリセロールの脂質およびグリセロリン酸への取り込みと,用いた分画のグリセロリン酸脱水素酵素の活性および本分画にATPあるいはグリセロリン酸を加え38℃に1時間保った後に分解されて生ずるATPでは無機リン,グリセロリン酸では無機リンとグリセロール量等を測定した。その結果,グリセロリン酸脱水素酵素はexponentialではstationaryに比べ約20倍高い活性を示した。次にグリセロリン酸の分解については無機リンとして検出される量はexponentialではstationaryの5倍であるけれども,グリセロールとして検出される量は2倍であった。ATPが分解されて生ずる無機リンについては,両者共に差がなかった。次に脂質およびグリセロリン酸への両放射活性の取り込みは,残存している^<14>C-グリセロールはexponentialではstationaryに比して少ないが,^<14>C-グリセロリン酸についてはstationaryはexponentialに比し約2倍見い出されている。しかし,脂質への取り込みは,stationaryでは5倍に増加している。又否放射活性のグリセロリン酸を添加しても,グリセロリン酸および脂質への取り込みに影響を与えなかった。^<32>P-正リン酸の取り込みは両phaseに全く差がなく否放射活性のグリセロリン酸の添加の影響も認められなかった。以上の結果から,両phase共グリセロールキナーゼによりグリセロリン酸を生成するけれども,この経路はグリセロールの分解経路であってリン脂質の合成経路ではなく,リン脂質はグリセロールからジグリセライドを経る経路によって生合成されていることを明らかにし,前報告の結果を更に確証した。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1968-03-01
著者
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