日本沿岸海域におけるアオリイカの集団遺伝学的解析
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概要
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日本各地に生息するアオリイカ地方群間の遺伝的類縁性をアイソザイム分析による集団遺伝学的解析によって調べた。アオリイカには遺伝的に高度に分化した3型(シロイカ, アカイカ, クアイカ)の存在が知られているが(Izuka et al., 1994), 今回は日本本土周辺から得られた10の"シロイカ"標本群と, 沖縄産の"アカイカ"標本群の合計11標本群について調べた。水平式デンプンゲル泳動法によるアイソザイム分析の結果, 21酵素1非酵素タンパクを検出し, 計34遺伝子座を推定したが, "アカイカ"と"シロイカ"グループの間では5遺伝座で対立遺伝子が完全置換しており, 両者の遺伝的距離の平均値は0.2に近く, Izuka et al.(1994)によって報告された"アカイカ"の遺伝的独立性が確認された。また"シロイカ"のグループ中ではLDH-4遺伝子座が特徴的で, 日本海の標本群とその他の地域の標本群間で対立遺伝子が完全置換しており, 遺伝的距離によるこれら2群の遺伝的相違の程度は亜種間に近い水準に達していた。このことから, 日本本土近海のアオリイカ(シロイカ)は日本海系群と太平洋系群のふたつに大別される可能性が考えられた。
- 2000-03-31
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