小笠原諸島父島の潮間帯動物調査 III : オオクロヅケガイ(新亜種)の記載・形態及び生息地について : 特にクビレクロヅケガイとの比較
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概要
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オオクロヅケガイMonodonta perplexa boninensisの記載をし, クビレクロヅケガイMonodonta perplexa perplexaとの形態・生息場所の比較を行なった。殻は小形, 偏平な球形, 濃緑色で黄緑色の点を散らす。殻頂はわずかに突出する。螺管はクビレクロヅケガイほど偏平ではなく, 縫合線に沿ってわずかに巻き上がる。体層は太く最後の1/2巻で急に太くなる。殻口は大きく楕円形で内面に真珠光沢がある。殻口外縁は薄く, アーチを描く。内唇外縁は肥厚し明らかな一歯を有する。臍孔は閉じる。幼貝では, クビレクロヅケガイとの形態的な差異はほとんど無いが, 成長するに従いクビレクロヅケガイの方が殻高が高くなる。生息場所は, オオクロヅケガイは外洋性転石海岸の潮間帯下部であるのに対し, クビレクロヅケガイは潮間帯中部に限られている。その原因として小笠原では潮間帯中部を中心として同属のクサイロイシダタミガイが高密度に生息し, 一方本州では潮間帯下部に同属のイシダタミガイ・クロヅケガイが生息しており, 共存する近縁種の生息場所の違いにもとづくものと, 推論した。
- 日本貝類学会の論文
- 1987-12-31
著者
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