アマガイ個体群の年齢組成と成長率の季節的変化
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概要
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1977年7月より1980年8月までの満3年間ほぼ毎月1回連続採集により三重県鳥羽市浦村町今浦の潮間帯の岩礁地でアマガイHeminerita japonica個体群を採集し, その試料に基づき年齢組成と成長率の季節変化について解析した。本種の幼貝は8月過ぎより底生生活を始める。しかし春の気温の低くかった1979年は幼貝の出現は遅かった。個体群の年齢組成は年による違いがなく, 幼貝の出現する時期から, 0, 1, 2, 3歳群の4群から構成され, 1番大きい満3歳群は毎年産卵を終えた数ヵ月以内に死亡する。その後翌年の幼貝が出現する夏まで0, 1, 2歳群の3群により構成されている。各年齢群とも日平均気温11℃以上になる4月より月平均成長率が大きくなり, 11月まで続く。しかし, この成長盛期は満0歳群では6∿10月, 満1, 2歳群では約1∿2ヵ月遅れて7∿10月である。冬期には各年齢群共に成長率は不規則で極めて小さいものとみなせる。満0歳群はその年の12月には平均殻長4.5∿4.75mmの大きさに達し, 満1歳群は12月に殻長9.6∿11.2mm, 満2歳群は12月に殻長13.3∿14.6mmに達する。満3歳群は産卵期後数ヵ月の間に死滅する。以上のように年による成長量の差異は小さいが, 若干の年変動が認められる。しかしその変動要因は明らかでない。
- 日本貝類学会の論文
- 1983-09-30
著者
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