日本産 Valvata 屬 3 新亞種の記載
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概要
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日本産Valvataは從来V. japonica MARTENS 1種によつて代表せられてゐた.本種は筆者の考へではヨーロッパ産V. piscinalis O. F. MULLERの1亞種であつて, 殼が著しく低いからV. piscinalis japonica MARTENSとして區別するを適當とする.しかしてヨーロッパ産のV. piscinalis obtusa STUDERは之に頗る近似のものと思はれる.更に本文に於ては新たに次の3亞種を記載した.1. 北千島占守島のValvataはV. japonicaに似た形をしてをるが, 第2圖に示したやうに殼の表面に縦の襞があり, それに1列の毛を密生してをるから, これをV. piscinalisの新亞種V. piscinalis simusyuensisとした.2. 樺太西海岸茶々沼のValvataはヨーロッパ産V. pulchella STUDERに似てをるが, それよりも著しく低い殼を有してをるから之をV. pulchella saghalinensisと命名した.3. 北海道の塘路湖及び阿寒湖にはV. piscinalis japonicaの外にヨーロッパ産V. cristata O. F. MULLERに似てこれよりも遙かに厚く且つ高い殼を有する亞種がある.これはV. cristata hokkaidoensisとして記載した.以上によつてヨーロッパに普通なるValvata s. str.の3種は何れもそれに近き亞種を本邦から産することが明かになつた.
- 日本貝類学会の論文
- 1935-05-31
著者
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宮地 傳三郎
京大理・動
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宮地 傳三郎
Seto Marine Biological Laboratory
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宮地 傳三郎
The Otu Hydrobiological Station, Kyoto Imperial University
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