ハーブオイルの酸化安定性
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概要
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ハーブオイルの酸化について検討することを目的とし,以下の実験を行った.オリーブオイルにそれぞれローズマリーとバジルの生葉を添加し,明所に14日間置いてハーブオイルを調製し,その後暗所に保存した.ハーブ無添加のコントロールオイルおよび2種類のハーブオイルのPOV,ラジカル捕捉活性,総ポリフェノール量,総トコフェロール量の経時的変化を測定した.(1)POVの変化は,3種類のオイル間で有意な差はなかった.28日目以降は0日目に比べ有意にPOVが上昇したが,いずれも20meq/kg以下で70日まで可食の範囲であった.(2)コントロールオイルでは,α-トコフェロール量が減少したもののγ-およびδ-トコフェロール量は減少しておらず,総ポリフェノール量もラジカル捕捉活性も変化がなかった.(3)ローズマリーオイルは,α-トコフェロール量が減少したがコントロールオイルよりは減少が小さく,γ-およびδ-トコフェロール量は減少しなかった.総ポリフェノール量は調製中の14日間で減少しているがその後は変化もなく,ラジカル捕捉活性は変化なかった.(4)バジルオイルは,α-トコフェロール量の減少が最も少なく,バジルからα-トコフェロールがオイル中に移行したことが推察された.総ポリフェノール量,ラジカル捕捉活性は調製中の14日間で減少したが,以後暗所では変化なかった.(5)バジルオイル中に未知物質が認められ,HPLCリテンションタイムは,α-トコトリエノールと一致した.(6)ハーブオイルはコントロールオイルと比較して,抗酸化性の向上は認められなかった.逆に酸化の促進も認められなかったが,明所より暗所での調製がよりよいと考えられた.なお,この実験は放送大学大学院で行ったものである.常にお励ましをいただいた放送大学大学院客員教授,酒井豊子先生に心より感謝の意を表する.また,測定法についてご助言をいただいた奈良女子大学教授,的場輝佳先生に感謝申し上げる.試薬のビタミンE同族体を供与いただいたエーザイ株式会社の阿倍皓一氏に御礼申し上げる.
- 2006-06-15
著者
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