ジョイ・コガワ作「おばさん」をめぐって : 政治意識の一研究
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概要
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ジョイ・コガワの「おばさん」は, 政治的意味合いの大きな小説である。 「おばさん」はナオミという日系カナダ人2世の女性の人生を語る形で第2次世界大戦中に移住した, 21,900人の日系カナダ人と2万人の日系アメリカ人の歴史に対する深い洞察をもたらすものである。この小説は, 政治過程の主流から除外されていた人間が, いかにして政治上の力にめざめ政治への意識を培ったかを明らかにしている。デビッド・ベルとローン・テパマンのいう Political efficacy(政治参加意識)とは「人間が個人として, 政治に影響を与えることができ, 発言することができ, 実効をもつことができるという認識」のことをさすが, ナオミの政治参加意識を妨げもし, 高めもした原動力は, 家族関係, 家庭外での人間関係, 教育, 文化的伝統, 社会的なしきたり, 歴史観の中にこそ見出すことができる。著者のコガワは, 適切な刺激があれば個人というものは, 沈黙や消極性から脱却して, 自らが住んでいる共同体の形成活動に積極的に関わることができるようになるという登場人物の信念を伝えているのである。
- 1990-08-30
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